第1回【賃貸借契約の見方】引継ぎ方法

不動産を自己所有せずにビルテナントなどを賃借している医院の承継では、賃貸借契約が引き継げるかどうかは承継の可否を決める重要なポイントの一つです。
賃貸借契約を締結している場合、賃借人が自由に借家権を第三者に譲り渡したり引き継いだりできるわけではありません。民法には賃貸人の承諾が必要であると定められており、そのため引き継ぎ方法には賃貸人(貸主)の意向が強く反映されます。
貸主の承諾が得られた際の引き継ぎ方法は、大きく分けると次の3つの型に分類されます。

  • (1)契約継続型
  • (2)名義変更型
  • (3)新規契約型

(1)契約継続型

今までの貸主との契約が、名義変更もなくそのまま継続される引き継ぎ方法です。医療法人をそのまま引き継ぐ場合は借主名が変わりませんのでこの型となります。
契約がそのまま引き継がれるので、賃貸料・契約期間といった賃貸条件は原則そのまま引き継がれます。
賃貸借契約がそのままですので、貸主から敷金・保証金が返還されることはありません。そのため、前院長との譲渡契約で敷金・保証金を引き継がないとなっていた場合、貸主を介さない形で敷金・保証金相当額を支払う必要があります。
事務手続きとしては殆どありませんが、前院長やその関係者が保証人となっているのであれば保証人の切り替えが必要となるため事務手続きが発生します。

(2)名義変更型

今までの貸主との契約を、借主の名義を変更することで引き継ぐ方法です。名義は変更されますが、原則として契約内容はそのままを引き継がれます。
契約内容がそのまま引き継がれた場合、賃貸料の変更はないというメリットはありますが、契約期間は残余分となるためタイミングによっては引き継いですぐに更新日が来る可能性もあります。
原則として敷金・保証金は返還されることになりますが、貸主によっては自分を介さずに直接やり取りしてほしいと希望することもあります。その際には、できれば敷金・保証金の返還請求権が移ったことを示す三者契約を取り交わしておくと安心です。
事務手続きとして覚書の締結などが発生しますので、不動産仲介会社への事務手数料が発生する場合もありますので、注意が必要です。
また、稀にですが行政手続きの際に名義変更型では許可してくれないケースがありますので、譲渡が決定したら行政への確認を忘れずに行ってください。

(3)新規契約型

今までの契約は解約となり、新たな契約として締結する方法です。
まったく新たな契約になりますので、契約条件が変更になる可能性があります。今まで通りと思っていた家賃がいざ具体的な賃貸借契約の相談を始めたら驚くほど上げられた、というようなこともあり得ます。特に、周辺より格段に安い家賃設定となっている場合は注意しておいたほうがよいでしょう。
以前の賃貸借契約が基本となる場合がほとんどですが、変更されたところがないか読み比べてみることが必要です。
新規契約の締結となりますので、不動産仲介会社への手数料が発生します。

賃貸借契約は、貸主の考え方や締結された時代によって千差万別です。それに伴い、引き継ぎ方法も千差万別です。
医療法人でありながら賃借人が院長個人のままとなっていて、法人ごと引き継いだにも関わらず新規契約型になるようなケースもあります。
また、長年のうちに契約書内容が実態と合わなくなっているため、名義替えだとしても別途覚書を締結したほうがよいケースもあります。
いずれにしても、前院長と協力しながら貸主と誠実に協議していくことが重要になります。

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