第4回【賃貸借契約の見方】契約書の見方について②

Point⑤ 賃料と保証金

契約締結時に発生する保証金・敷金といったスポット料金と、毎月かかる賃料・管理費といったランニング料金を確認します。
事業用賃貸借の保証金・敷金は一般の賃貸借と比較して高めに設定されています。そのため、承継ではこれをどう扱うかが論点の一つとなります。保証金・敷金は必ずしも全額が返還されるわけではありません。仮に買主から売主へ保証金・敷金に相当する金額を支払うとなったときには、実際の返還金額が幾らかを把握しておくことが必要となります。
また、稀にですが「建設協力金」という名目の金銭を借主が支払っているケースがあります。造作を入居者の希望に合わせて建てたような場合に借主が建設資金の一部を負担する際のスポット料金です。保証金や敷金と同じように後々返還される金銭ですが、退去時の一括返還ではなく月家賃から相殺して返還に充てていたりします。売主と買主の間で承継後の返還分をどう扱うか協議するとともに、いずれ相殺分がなくなり月家賃が変わることに注意しておく必要があります。

Point⑥ 中途解約

契約期間の途中で解約するときの決まりを確認します。
賃貸借の契約期間は、貸す方だけでなく借りる方にも責任が生じます。出ていきたいからといってすぐに解約できるわけではなく、3~6ヶ月程度の事前通知期間が設けられています。特に定借契約では中途解約に伴う違約金が設定されているケースが多く、残期間分の家賃全額が違約金で設定されている場合もあります。

Point⑦ 原状回復

契約満了または解約となったときに、借手はどこまで物件の回復をする必要があるかを確認します。
承継したばかりですからすぐに発生することではありませんが、確認しておいた方がよい項目です。もし売主が基礎造作の変更や水回りの移動をしていた場合には、原状回復で大きな費用が掛かる可能性があります。図面をみながら売主に確認をしておくとよいでしょう。

Point⑧ 特記事項

今までの項目は賃貸借契約全般で共通なものですが、契約書にはその物件にだけ当てはまる決まり事が特記事項として記載されています。物件固有のものですので、内容は様々ですが必ず確認したほうがよいでしょう。

以上のようなポイントを意識して賃貸借契約書をみることで、より理解しやすくなるはずです。また、売主の説明と異なっている点も判断できるでしょう。
とはいえ、賃貸借契約書で把握できるのは、あくまでその契約が対象としている物件についてです。
案件の不動産状態を正確に把握するには、決算書(貸借対照表や損益計算書など)に記載されている固定資産や家賃賃借料と賃貸借契約書の内容を比較してみることが必須です。
比較をするときには、
・使用している不動産は、必ず所有しているか貸借しているかのいずれかである
・所有又は貸借している不動産には、医院運営に関係していないものもある
の2点を念頭に置き、承継後に必要なもの不要なものを見定めていくことになります。

参考

不動産を貸借しているときは、本来は必ず貸借契約書が存在するはずです。
無償で貸借している場合は、賃貸借契約書ではなく「使用貸借契約書」を締結します。
理事長所有の不動産を法人に賃借しているときに稀にではありますが経営の悪化に伴い賃料を無償にすることがあり、こういうケースでは契約書なしで済ませていることが間々あります。個人と法人の境目が曖昧なために起こってしまうケースですが、本来はこのような場合にも契約書は必要となります。

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