案件探しの始め方 Step2:案件探しの基礎知識

Step2:案件探しの基礎知識

不動産の物件情報と承継の案件情報とは、似ているようでいて実は異なる性質の情報です。詳細な住所や間取りをオープンにして買い手を探す物件情報に対して、承継の案件情報は、最終決定するまで患者や職員に知られたくないという売主側の思いを踏まえて非公開で扱われます。
公開情報と非公開情報では、情報を開示された後の取扱いが違うだけでなく、固有情報が開示されるまでの段取りも違っています。承継の案件情報は、希望すれば誰にでも簡単に開示されるわけではありません。固有情報の開示には、ネームクリアと呼ばれる売主が希望者の情報をみて候補者として適当かどうかを検討するステップを要します。
一般的に、売主は複数を同時に検討している希望者よりも、自分のところにだけ興味を持ってくれている希望者を好みます。不動産の物件情報のようにとにかく情報を集めてから考えてみるという手法は使い難くなります。そのため、固有名のない簡易情報(ノンネーム情報)の段階で、自分の希望と合致しているかどうかを見極めることが重要となります。
とはいえノンネーム情報に記載されている情報量は、多くはありません。見極めるには、承継案件の基本的な型を知っていることが必要です。
今回は、承継案件の基礎的な区分をみてみましょう。

(1)医院の状態による区分

引き継ぐ際の医院の状態を大きく分けると、次の2種類になります。

▷営業中案件(患者引き継ぎのある案件)

通常通り営業を行っている医院を引き継ぐ案件。
承継案件として一般的にイメージするのがこの状態でしょう。院長のみが交代し、医院の設備だけでなくスタッフ等の運営組織、患者を含めた診療活動を、出来る限り引き継ぐことになります。どこまで引き継げるかは案件ごとで異なりますが、事業として一定の基盤を承継できることが最大の魅力といえます。
医院の業績が条件に反映されるので業績が良ければ良いほど譲渡対価は高くなり、案件によっては新規に開業するよりも高額になるケースもあります。

▷休止案件・廃止案件(患者引き継ぎのない案件)

売主側の何らかの理由で患者の引き継ぎができない医院を引き継ぐ案件。
院長の急な体調不良が原因で止む無く休止せざるを得なくなり、そのまま引き継ぎ先を探しているような案件から、既に廃止から数年を経過して不動産の居抜き物件として扱われているような案件まで、いろいろなケースがあります。
なお、買主側の理由で患者が引き継げない(診療科目が違う等)場合でも売主側が承諾して交渉が開始されるケースはありますが、多くは対価などの譲渡条件が合わずに不成立となってしまいます。

(2)譲渡手法による区分

承継案件の譲渡手法は、主に「法人譲渡」と「事業譲渡」に分けられます。

▷法人譲渡

医療法人が開設している医院を、医療法人の出資持分や拠出金債権を引き継ぎ、経営陣である社員・役員を交代することで、引き継ぐ手法です。医療法人を新しく設立には数年単位の時間が必要ですので、承継開業後の早い時点で分院展開のための法人化を検討しているような場合には、魅力のある譲渡手法といえます。
法人ごとの引き継ぎですから医院の開設者自体は変わりません。そのため、手続きは比較的容易ですが、診療責任や資産負債の線引きを明確に決めておく必要があります。

▷事業譲渡

医院を引き継ぐことは変わりありませんが、形式上、売主側の医院を廃止して買主側の医院を新たに開設する手続きが必要となるような手法を指します。
開設者変更の型としては、個人医院を引き継ぐ「個人から個人へ」「個人から医療法人へ」の2種類と、法人から分院など医院だけ引き継ぐ「医療法人から個人へ」「医療法人から医療法人へ」の2種類、合わせて4種類あります。
基本的には新規に医院を開業する際と同じ手続きとなります(ただし、保険診療を承継する場合には厚生局への遡及開業手続きが必要)。開設者が変わるので、診療責任や資産負債は原則として線引きされています。

(3)譲渡対象による区分

不動産であれば譲渡の対象は「土地」「建物」といった有形固定資産だけですが、医院の承継では医院という事業を承継するため有形固定資産以外にも対象が出てきます。
決算書などの詳細資料がみられないノンネーム情報の段階では細かな区分けをすることは困難ですが、特に法人譲渡の場合であれば負債を引き継ぐかどうかの確認は必要です。

▷負債を引き継がない案件

ここでいう負債とは銀行や個人(売主など)から借りている負債を指し、診療継続のためには引き継ぐことが前提となるリースは含みません。負債を引き継がないのであれば、譲渡対価がそのまま支払う金額と判断できます。

▷負債を引き継ぐ案件

負債を引き継ぐことになるため、実際には譲渡価格+負債の金額負担が必要となります。整理が煩雑なので負債と流動資産(現預金や未入金など)をそのまま引き継ぐことが条件となっている案件もありますが、その場合は差引額や売主への退職金額などと合わせて譲渡対価を検討する必要があります。
「譲渡価格1億円(1億円の負債ごと)」と「譲渡価格1億5千万円(負債は売主が清算)」
案件探しでは、少ない情報から案件のイメージを掴むことと、自分の希望を整理してイメージを固めることが必要です。
次回は、イメージを固めるために決めておくことを説明します。

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