案件探しの始め方 Step4:ノンネーム情報の見方

Step4:ノンネーム情報の見方

案件探しでよく使われるノンネーム情報とは、医院名が特定できない簡易案件情報のことを指します。
今回は、ノンネームシートを見ながら注意点やポイントを説明していきます。

(1)ノンネームシートの注意とポイントメージの作り方

ノンネーム情報の書式には、とくに統一の規定はありません。記載事項は仲介会社や案件ごとで異なります。サンプルは標準的なノンネームシートですが、この段階で開示できる情報をすべて記載してあるわけではありませんので、知りたい情報が記載されていない場合は仲介会社に質問してみてください。
ただし、医院名が特定されるような情報が開示できるのは、仲介会社と秘密保持契約を締結し売主に情報開示の承諾(ネームクリア)を得てからになりますので、この段階で答えられる質問にはどうしても限界があります。自分の希望をきちんと整理し、仲介会社としっかり共有しておくことが大切です。

(2) 各項目の注意とポイント

サンプルでは見やすいように情報内容ごとで項目を並べてありますが、実際には項目順がバラバラで見づらいものもあります。ここでは、サンプルに沿って情報内容ごとにみていきましょう。

①外部の情報(立地・施設など)

ノンネームシートでは、所在地や施設の形態などが開示されます。
外部の情報は医院名が特定されやすい情報ばかりですので開示内容はいたって漠然としています。
サンプルに記載したように、所在地として開示されるのは都道府県名と地域程度です。医院数自体が少ない地域では、県名の開示も不可の場合があります。当然、最寄り駅の固有名は開示されません。駅から何分ぐらいかかるかといった程度が限界となります。
区は?駅名は?電車は何線?といった質問には答えることができないので、少し方向を変えた質問をしてみるとよいでしょう。
「周囲はオフィスが多い、それとも住宅が多い?」「自宅の〇〇から45分以内で通いたいけど可能?」といった質問をしてみることで、希望の範囲内かどうかをある程度見定めることができます。

②内部の情報(組織・診療など)

ノンネームシートでは、医院の状態・運営形態・組織・スタッフ人数・医療設備などが開示されます。外部情報と比べると比較的開示しやすい情報のためサンプルのように数値がある程度具体的に記載されますが、シートによって記載項目の数が違います。なかには、科目と医療機器だけしか記載されていないようなシートもあります。仲介会社自体が把握しておらず回答できないこともあり得ますが、ここに記載された内容程度は質問しても構わないと思います。
詳細な数字や機材の名称などはネームクリア後に資料や内見で開示されるため、ここでは医院の診療内容や規模感が自分にマッチしているかを確認します。
サンプルでは標榜科目をそのまま記載したので実際の診療内容とは違っています。「中心となる科目は?」「最も多い患者層は?」「主な疾病は?」といった質問をしてみるとよいでしょう。細かな診療内容は医師同士での質疑応答が必要ですが、おおよその確認をすることができます。レアケースですが、診療内容が特殊すぎて医院を特定されてしまうので回答できないことがあります。
規模を知るには、広さ・従業員数・医療機器などの項目をチェックします。従業員数は記載が延べ人数の場合があるので、「そのうち常勤は何人?」と聞くと実際の規模感を把握することができます。

③経営の情報(売上・利益など)

ノンネームシートでは、売上高や利益等の情報が開示されます。
承継後の収入を考えるうえで参考となる貴重な情報ですが、この段階では決算書など詳細情報は開示されません。
売上はそのままの数値で受け取って構いませんが、利益の記載には注意が必要です。実は利益の定義が仲介会社によって違うので、同じ案件であっても記載が異なることがあります。法人の営業利益や個人所得をそのまま記載しているところもあれば、資料やヒアリングを基に不要な経費を算出した実質利益を記載しているところもあります。
サンプルのような記載であれば、「いつの数値?」「利益は営業利益の数値?それとも他の数値も入れてある?」「売上は増えている?減っている?」といった質問をすることで、より実態に近い数字を把握することができます。ちなみに、ここでの回答は「2019年度決算時の数値」「営業利益+役員報酬+減価償却費+車両費(院長の個人車両)」「上下はありますが、あまり変わっていません」となります。
記載された売上や利益が約束されているわけではありませんが、将来の限界でもありません。承継後の運営によって変化していくものなので、診療内容や譲渡条件などと絡めて検討する必要があります。

④譲渡の条件(理由・時期・価格など):

ノンネーム情報で開示されるのは、譲渡の理由・時期・価格といった情報です。
譲渡の理由は大抵の場合が複合的なもので仲介会社でも完全に把握することは難しく、記載されたものがすべてとはいえず、あまり重要視する必要はないと思います。ここでは、時期と価格のイメージができると範囲内にあるかどうかの判断がしやすくなります。
サンプルでは価格が「4,000万円(応相談)」、時期が「9月」となっています。
価格を検討するにはこの項目だけでなく対象やその他の項目もみる必要があります。対象には「法人、固定資産、営業権」と記載され、その他には「リース契約の引継(月額約20万円)」と記載されています。対象に「流動資産」や「負債」が書かれていないので、承継の時点では現預金はないけれども借入金などの負債を引き継ぐ必要もない、ただリース残がまだあるということがわかります。念のために「現預金や負債の引き継はないのか?」と再確認し、「リース残はどの程度残っているのか?」を聞いてみると、何が幾らで譲渡されるのかがわかります。
時期は「9月」となっていますが、どれだけこの期日にこだわりがあるのかは、この記載だけではわかりません。もし自分の希望があるならば「自分は〇〇頃になりそうだが、問題ないか?」と聞いてみるとよいでしょう。10月に手術を受けるからといった変えようのない日時設定かもしれませんし、体調が悪いのでその頃までにはといったややアバウトな設定かもしれません。具体的な日時提示をすることですり合わせが可能かどうかも知ることができます。
承継は交渉事ですので、多くの案件では時期と対価についてある程度交渉することができます。ただし、極端な値下げや時期の変更を見込んでの交渉開始をすると、まず成立することが困難になります。開業経費や初期の運営費など必要となる経費と譲渡対価を合わせて、調達できる資金と比較する必要があります。

今回はノンネームシートの見方やポイント、具体的な質問について説明しましたが、次回は、実際の交渉についてみていきましょう。

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