案件探しの始め方 Step3:案件探しの前準備

Step3:案件探しの前準備

承継案件探しでは、少ない情報を基に自分にマッチした案件かどうかを判断していくことになります。そのためには、まず自分の希望をイメージし整理しておく必要があります。今回は、案件探しの前準備として、希望案件のイメージの作り方と整理の仕方について説明していきます。

(1)イメージの作り方

承継案件を探すときに、皆が皆しっかりしたイメージを固めてから相談にきているわけではありません。
「決まったら引っ越すので場所はどこでも。時期は決めていないけど、いい案件があれば開業したい」という漠然とした状態で相談に来る方が、実は結構います。中には、いくら質問しても「いい案件があれば」というだけで、具体的な内容がまったく出てこない方もいたりします。
しかし、何をもっていい案件とするかは人それぞれなので、自分の中で具体化できていないと案件探しはそこでストップしてしまいます。そのため、自分にとっての「いい案件」を具体的にすることが必要となります。
まずは、自分がどこまでなら出来そうかを考えてみてください。
毎日の通勤はどのくらい時間がかかっても通えそうか。診療はどの範囲までなら診ることができそうか。スタッフは何人ぐらいまでなら管理できそうか。などなど、医院生活の具体的な事柄についてどこまでなら対応出来そうか、納得出来そうかを考えてみると、少しずつイメージが形作られてきます。
「(対応・納得)できる」ことがイメージできたら、次は同じ事柄について「やりたい(なりたい)」理想をイメージしてみましょう。この「できる」と「やりたい(なりたい)」のイメージ作りが、重要なステップとなります。

(2)イメージの範囲

「〇〇駅から徒歩5分以内にある築5年以内のビル1F、一般内科で小児を診なくても十分に利益が出ているクリニックで、今年中に承継開業したい」といった相談を受けて調べてみると、承継案件どころか該当するようなクリニックがそもそも存在しないといったことがありました。
承継案件はオートクチュールの服とは違いますので、その方の希望に合わせて作り出すことはできません。数が無尽蔵にあるわけではなくまた売主側の希望もあるため、すべての理想を満たす案件が見つかることは相当困難で、ある程度は折り合いをつける必要がでてきます。とはいえ、理想を抑えて片端から手を挙げてみても意味のある案件探しにはなりません。
「いい案件」は、「できる」から「やりたい」の範囲にあります。ノンネーム情報の中からその範囲にある案件を探し出し、より詳細な検討をして自分にとっての「いい案件」を見つけていく。それが案件探しを上手く進めるコツといえます。

(3)整理の仕方

実際にノンネーム情報の中から探し出すには、情報と比較できるようにイメージを整理していく必要があります。
ノンネームの段階で得られる情報は限られています。一般的な項目としては「運営形態」「立地」「施設」「科目」「組織」「診療日」「収支」「譲渡資産」「譲渡対価」「譲渡理由」といったものですが、医院が特定されない程度の情報ですので、あまり詳細な情報までは開示されません。
以下の様に区分けしてイメージを整理しておくと、ノンネーム情報の検討がしやすくなります。また、自分のイメージや許容範囲が明確に伝えられると、該当するかどうかといった参考情報を得られることもあります。

①外部の状態:

医院の立地や環境に対するイメージを整理しておきます。
自宅からは何を使って通勤したいのか?どのくらいの時間までならば通えるのか?戸建てがいいのかビルの1室がいいのか? 閑静な住宅街か商店街か?
医療法人がいいのか、個人開設の医院でもいいのか?
もし、移転可能だとしたら、移転後の住居はどんなところがいいのかイメージを整理してみてください。
承継の交渉が進んでいざ譲渡契約締結となったときに、「妻に話したら実家から遠くなるのは嫌だと言うので、この話は無しにしてください」と突然言い出した方がいます。転居や通勤時間は家族皆の問題です。子供の学校、奥様の仕事など踏まえたうえでイメージを作り整理する必要があります。

②内部の状態:

診療科目、診療時間、設備、スタッフの人数、広さといった、医院自体のイメージを整理しておきます。
どんな診療をどんな患者様に対してどの程度の規模でやっていきたいのか、といったイメージ作りは、比較的作りやすいのではないでしょうか。ただ、あまりイメージを固めすぎるとマッチする案件が減ってしまいますので、少し幅を持たせるように注意してください。

③経営の状態:

ノンネーム情報では、直近年度の売上高や利益など大枠での経営状態が開示されます。
当然ながら経営が順調な分だけ譲渡対価が高い案件もあれば、経営が思わしくないために譲渡対価が低く設定されている案件もあります。
自分で大きくしてすぐにでも分院展開を図り事業拡大していきたい。それまでの診療をしっかりと引き継ぎ末永く安定して地域貢献していきたい。承継後の将来イメージは人それぞれです。イメージに合わせた経営状態の案件を探していくことになります。
なお、承継開業といえども、当初から多額の収入が得られるとは限りません。自分の生活に必要な金額を整理しておく必要があります。

④譲渡の条件:

主に承継の時期と対価がイメージできていると範囲内にあるかどうかの判断がしやすくなります。承継は交渉事なので、多くの案件では時期と対価についてある程度交渉することができます。ただし、極端な値下げや時期の変更を見込んでの交渉開始をすると、まず成立は困難です。開業経費や初期の運営費など必要となる経費と譲渡対価を合わせて、調達できる資金と比較する必要があります。

自分の希望に固執しすぎると案件探しは難しいですが、希望を隠すことも案件探しの妨げになります。希望は希望としてきちんと持ったうえで、どこまでを許容範囲とするかが整理できていれば、案件探しの準備万端です。
次回は、ノンネーム情報のサンプルに沿って、記載内容とポイントを説明します。

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