案件探しの始め方 Step5:検討と交渉のポイント

Step5:検討と交渉のポイント

承継案件の候補が確定しネームクリアが終了すると、次はいよいよ本格的な検討と交渉が始まります。
検討と言われても何をどうしたらよいか分からない、という方は割といます。その場合、「承継」自体をよく捉え切れていないことが多いようです。
承継は開業の一形態であり、研修とは違います。また、既存医院に新院長として就任するのとも違います。就任さえすればそれまでの診療や経営が自然と引き継げるわけではなく、新規開業と同様に自分の医院を作り上げる必要があります。
売主は手取り足取り教えてくれるわけではありません。稀に売主から診療や経営を教わって自立できるようになったら引き継ぎたいと希望する方がいますが、これでは売主にとって承継ではなく教育や管理の責任を負う雇用となってしまいます。
そういう承継の特徴を再確認したうえで、検討と交渉の注意点やポイントをみていきましょう。

(1) 医院承継における検討と交渉とは

①検討

医院承継での検討とは、医院の実態を把握し、承継後の可能性を見極め、譲渡条件を判断することを指します。
患者層や診療内容といった医療関連は施設内見と売主面談を基に、財務や収支等の事務関連は開示された詳細資料(決算書、開設資料、組織資料など)を基に実態を把握していくこととなります。
実態を把握しながら自分がその医院を引き継いで運営することを想定し、当初の負担や将来の可能性を見極めていきます。簡単な10年間程度の事業収支計画を作成してみるなど数値的な検討も必要です。
引き継げる、引き継ぐ価値がある、と見極められたら次は譲渡条件について判断します。譲渡条件は代金だけでなく引継の方法・期間、引渡の時期などを含めて判断します。もちろん、資金の原資や返済をどうするかといった代金に関わる部分も重要となります。

②交渉

医院承継における交渉とは、面と向かって条件を言い合って相手を説得するような難しい駆け引きを指すわけではありません。駆け引きがまったく無いわけではありませんがそれは主に仲介会社を窓口に行われます。
ここでいう交渉とは、売主から受ける印象への判断や、売主に与える印象をどう作っていくかを指します。直接会う内見面談の場だけでなく、途中の質疑応答や条件協議といった場面でも相手への印象は発生します。承継は譲渡契約を締結すれば終わりというわけではありません。その後には引継や引渡といった相手方との共同作業が続きます。相手をどう見るか、相手からどう見られるかは、承継全体を成功させるには重要な要素となります。

(2) 検討と交渉のポイント

①検討のポイント

自分がその医院を経営している姿を、出来る限り具体的に想像する。それが検討のポイントです。
まずは最初に立地・診療内容・収支を確認します。通勤や診療の姿を想像し、それが希望と離れすぎているようであれば、その時点で見送らざるを得ません。収支は自分の希望する程度の収入が得られそうかという観点でみてみます。希望の範囲内に収まりそうであればより細かな検討に進んでいきます。
細かな検討では、最初に業務としてその医院を引き継げるかどうかを見極めます。
原則として売主は簡単な引き継ぎだけで引き渡すというスタンスです。簡単な業務の引き継ぎだけで医院を運営していけるかどうかが見極めのポイントになります。
診療であれば、ご自身の経験と照らし合わせて見極めやすいのではないでしょうか。意外と抜けるのが、小口現金の管理、給与計算や決算などの経理作業、マーケティング等の実務です。医院の場合はスタッフではなく売主自身や奥様、または税理士事務所が処理していることが多いので、これをどう引き継ぐかもポイントになります。内見面談の際には、これらの部分を重点的に確認して把握し見極めていきます。
次に、開示された決算書や申請書類などから、財務・労務・法務といった部分を把握し、最後に、売主から提示された譲渡条件に対応できるかを判断します。これには資料の読み込みや事業計画の作成といった専門的な知識が要りますので、場合によっては仲介会社や税理士などに相談してみることが必要になります。譲渡条件については、ある程度の希望ラインと最大譲歩ラインを設定しておくと以後の協議が進めやすくなります。

②交渉

売主がいること、売主は敵ではなく協力相手であることを意識する。それが、交渉のポイントです。
例えば、話がまとまりかけたときに、売主や仲介会社に断りなく突然内装業者を連れて医院の中を計測した方がいました。不動産物件と同様に考えたのでしょうが、当然ながら売主の反感を買い破談となりました。
例えば、面談でやたらに強い口調を使って意見を主張する方がいました。知り合いの弁護士から、交渉では最初にガツンと言って舐められないようにした方がいいと教わったそうです。売主の奥様が怖がってしまったために、それ以上の話し合いへは進みませんでした。
承継は確かに売買ではありますが一般の物品売買のような買い手の単独行為とは違って、売主という大きな影響力を持つ相手が存在します。そして多くの売主は、条件さえ合えば誰でもよいとは考えておらず自分が築いてきた医院を安心して託せる人にという想いを持っています。承継は、互いに歩み寄りながら協力して行う売買といえます。
必要以上に愛想良くする必要はありませんが、期日や約束を守る、相手に確認をする、といった一般的な誠意ある対応をすることが求められます。
逆に売主から受ける印象についても同じことがいえます。承継は、契約が締結できればそれで終わりというわけではありません。その後の引継や引渡は、仲介会社という窓口を通さずに売主と買主が直接やり取りをして実行していくことになります。協力しあえる相手かどうかは大切なポイントとなります。

次回は、ネームクリアから譲渡契約までの全体的なフローについてみていきましょう。

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